私たちの誰も、老いることを避けることはできません。
仮に長寿であっても最終的に「老い」へと到達する時期は必ずやってきます。
そして厄介なことに、老いることで発症率が高まるのが認知症です。
認知症は発症した高齢者だけの問題ではありません。その介護がのしかかってくるのはその家族です。
本人のためにも、ご家族のためにも、認知症について知っておくことは、必要です。
そこで今回は、知っとこう認知症の予防法!と題し、アルツハイマー型、レビー小体型、若年性認知症などに代表される認知症の予防について触れてみたいと思います。
認知症の基礎知識、アルツハイマーの予防は可能?
歳を重ねると「記憶する」機能が衰えもの忘れや、なかなか思い出せないということが多くなってきます。
それが即、認知症と誤解されている方が大勢いらっしゃいますが、加齢によるもの忘れと、認知症によるもの忘れとでは、決定的な違いがあります。
それは、
・加齢によるもの忘れ…出来事の一部を忘れてしまう
・認知症によるもの忘れ…出来事そのものを忘れてしまう…という違いです。
たとえて言えば、食事のあと、何を食べたか思い出せなくなるのが「加齢によるもの忘れ」、
食事をしたこと自体を忘れてしまうのが「認知症によるもの忘れ」です。
食事の後に、「ごはんはまだ」と催促することがこれに当てはまります。
ところで、認知症の半数を占めると言われているのがアルツハイマー型認知症ですが、アルツハイマーは遺伝が関係する病気ですが、適切に対処することにより、発症率を低くしたり、進行を食い止めたりすることができます。
では、アルツハイマーの予防策に行く前に、アルツハイマーになりやすい人はどんな人なのか見てみることにしましょう。
アルツハイマーになりやすい人
・高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病はアルツハイマー病の危険因子
・高齢である……発症率が増えるのが60歳以上で、女性に多い。
・頭を使わない人
・高学歴の人……高学歴の人は、発症しにくいが、発症すると進行が速い。
・1時間以上昼寝をする……昼寝を30分以内にすれば逆に予防になる。
・酒に弱い人……強い人の1.6倍高くなります。
・運動をしない……運動をしない人がアルツハイマーになる確率が1なら、1回20分以上の有酸素運動を週2回行う人のリスクは0.38に減少するという研究結果が。
他にも、
・肥満の女性 ・魚をほとんど食べない ・高脂肪食を頻繁に食べる
・真面目な人 ・ストレスがある人 ・悲観的に考える人
・女性ホルモン「エストロゲン」を長期間服用している人・・・などで、これらにあてはまる人は要注意です。
アルツハイマーの予防策

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・有酸素運動を行う!……軽いジョギング、ウォーキングなどを1日20分~30分、週2回以上。
・指先を使うようなことをする。また、囲碁や将棋、トランプ、チェスなどのゲームをするのも効果的。
・ストレスをため込まない、または発散する。 ・1日20~30分の昼寝
・食事に気を付ける
食べることはお年寄りにとっては何よりの楽しみです。そこで詳しく触れてみると、
・一日三食食べ、量は食べ過ぎず腹八分目にとどめ、カロリーは控えめにする。
・魚、特にサンマ、サバ、イワシなどの青魚、サケ、マグロ、カツオなどを週1回以上食べる。
できる限り、魚中心の食事がおすすめ。理由は1日1GのDHA摂取が推奨されるから。
・カレー、バナナ、1日2杯のコーヒー(カフェイン)、玄米ご飯と納豆、緑黄色野菜、1日3杯の緑茶(カテキン)、ショウガ、海苔、ブラックチョコレートが脳に良いと言われています。
大切なことは、食事に気を付けて、糖尿病や高血圧の病気を予防することも大事です。
認知症の基礎知識、レビー小体型認知症の実態
レビー小体型認知症は、認知症のうちでは、アルツハイマー病の次に多い病気です。
症状はアルツハイマーと共通する部分も多く、認知症全体の約20%をレビー小体型が占めると言われています。
レビー小体型認知症は、主に大脳皮質の多くの神経細胞に、「レビー小体」という変化が現れる状態を言います。
レビー小体病は、初期症状として幻覚や妄想が現れます。
レビー小体型認知症の初期症状が見られたら、早めに治療を開始するべきです。早期発見、早期治療により、進行を食い止めることが可能です。<レビー小体型認知症の初期症状についてはこちらのページ参照>
レビー小体型認知症患者のもの忘れは、アセチルコリンの低下が関係しています。
これを増加させる治療により、症状を抑えることができます。
レビー小体病患者に特徴的に表れる幻覚は、とてもリアルであることが多いです。
たとえば、「部屋で2人の子供たちが走り回っている」など、具体的な表現をとることが多いです。
「寝ていたら、突然ガス工事の職人がたくさん入ってきた。」
「なぜか近所の人や子供たちも一緒に入ってきた。」
「ガス工事のはずなのに、自分が寝ている寝室を家から切り離し、トラックに載せられた。」
「大雨の中、町中走り回っていた。」
「隙を見て逃げ出し、寝ている家族を起こすことができた。」
と、ストーリー性のある幻視を話したりします。
しかし本人は、「トラックに乗っているのに家に帰ってこれたのはおかしい」など、自分の体験の矛盾に気づいています。
幻視の症状が現れたら、早めに医療機関を受診しましょう。
認知症の基礎知識、若年性認知症とその予防法は?
認知症は、高齢者だけが発症する病気ではないんです。
若年層で発症する若年性認知症もあります。
若年性認知症は、18歳以上、65歳未満で認知症の症状がある状態を総称した言い方です。

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認知症にはアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、ピック病、前頭側頭型認知症、血管性認知症、頭部外傷性認知症、アルコール性認知症などがあります。
若年性認知症は、18歳~65歳までにこれらの疾患を発症したすべての患者を含みます。
その患者数は、厚生労働省によると、1996年当時の患者数は2万5,000人~3万7,000人で、現在ではその3倍の患者がいると言われています。
高齢者に比べ、若い人がアルツハイマー型認知症にかかってしまうと、進行のスピードが速くなり、40代患者の場合、高齢者に比べて2倍速く病気が進行すると言われています。40代と言えばまだ働きざかりの年齢ゆえ、社会にも家族にも大きな影響を与えます。
若年性認知症を引き起こす原因として、脳の委縮以外に挙げられるもので、交通事故や転倒による脳障害です。また、脳梗塞など、血管性の疾患がもとで、引き起こされることもあります。が、最近では、若年性認知症は、遺伝が原因であるという説もとなえられるようになりました。
しかしながら、健康的な生活を心がけることにより、若年性認知症の予防ができると考えられています。
その対策は・・・
★栄養バランスのとれた食事
★適度な運動
★十分な睡眠
食事、運動、睡眠に気を付けることで、血管障害を防止できます。
それが若年性認知症の発症率を抑える結果となるようです。
若年性認知症の中でも、血管性認知症の場合は、外科手術、薬物療法、運動療法などの治療法で、血流を改善させることにより、ほぼ症状は改善させられます。
高齢者が血管性認知症にかかってしまうと、体力の問題から手術を受けることができないこともありますが、若年性認知症の場合、若いときに発症するため、手術を受けることは問題無いようです。
まとめ
認知症にも多くの種類があるようですが一貫していえることは、
栄養バランスのとれた食事の改善と、適度な運動・・・に尽きると言えると思います。
趣味など生きがいを持つ、というのも予防を考えるうえで大切なことであり、社会とかかわりを持ち、毎日を生き生きと過ごすことが大切なようです。
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